plant collecting_ヒトリノドカ
螺鈿、蒔絵、卵殻など、伝統的な漆芸の加飾技法を⽤いて、⼩さくも凛とした架空の植物を造形する山岸紗綾[1981- ]。作家が長年手がける「植物採集シリーズ」の一点です。作品ごとに新種の植物標本のように桐箱に納められ、⽣態や名の由来を⽰す⽂章が付されています。作家のフィクショナルな⾔葉の⼒が、植物の⾒えない細部やそれらが⽣育する光景にまで想像をかきたてます。ブローチなどの装⾝具として、⾝辺に寄り添うこともしてくれる奥ゆかしいオブジェたちです。
「plant collecting_ヒトリノドカ / hitorinodoka」
キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。日本海側、北陸から北の海岸付近の浜に生息する。4月初旬から5月初旬にかけて、黄色の花を付ける。和名は「一人長閑」と書き、穏やかな春の日にぽつんと佇む蕾のさまからこの名が付いた。根茎で増えるが花はそれぞれ少し離れた所に付く。晴れの日が3日間続くのちにその花が開くと言われ、「春待草」の異名も持つ。陽の光のなか波風に揺れそよぐ様は愛らしく、雪国に訪れた春の歓びを表す季語として古の詩の中で詠まれている。
CONTACT
作品や展覧会へのお問い合わせはこちら