桂ユキ子(ゆき) [1913-1991] Yukiko(Yuki) Katsura
1930年代から90年代まで、長きに渡って発表を続けた女性前衛作家のパイオニア。
生誕100年以降じわじわと再評価が進み、どのイズムにも分類しがたい孤高の在りようは普遍的で現代的な魅力を放つ。
戦後前衛美術史のなかでも、個性きわ立つ異色の存在といえる。
物質の表皮に対する触覚的な執着と、編集的な画面構成がもたらすユーモアには独特の爆発力がある。彼女のコラージュの手法は戦前からいち早く展開され、シュルレアリスム的なそれとはまったく異なる点は注目に値する。
生活用具や動植物などの身近な事物と、抽象的な形象を混在させたユニークな表現を得意とした。
1913(大正2)年、東京都生まれ。初めは「ユキ子」、戦後1970年代頃から「ゆき」と称する。
1935年 初個展「桂ゆき子コラージュ展」開催。
1938年 吉原治良の誘いを受け二科九室会に参加。
1946年 女流画家協会、日本アヴァンギャルド協会などの創立に参加。岡本太郎の「夜の会」にも出席。
1956年 渡仏。足かけ6年間、ヨーロッパ、アメリカに滞在。イヴ・クライン、ジャン・ジュネ、ジャン・コクトーと交友。
1958年 単身で知人のフランス人医師を訪ねてアフリカ奥地へ旅行。のちに『女ひとり原始部落に入る』(1962年)を出版し、毎日出版文化賞受賞。
1960年 渡米後、岡田謙三、草間彌生らと「日本の抽象芸術」展(ワシントン)、「日米女流画家展」(ニューヨーク)などに出品。この頃から皺にした和紙をコラージュした抽象表現主義的な作品を制作する。
1961年 帰国後は独特のユーモアを交えたコラージュの手法を駆使して常に新鮮な様式を開拓し発表した。
(「奔る女たち 女性画家の戦前・戦後 1930-1950年代」カタログ(2001)、「前衛の女性1950-1975」展カタログ(2005年)、栃木県立美術館 参照)
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