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個展
江波戸陽子展 / 物は人 Yoko Ebato Exhibition / If all time is eternally present
- 江波戸陽子
- ぬいぐるみ
- 2024年
- 紙に鉛筆
- 15.5 × 34.3 cm
- 会期・会場
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南青山Room
2025年
09.02
(tue)
09.13
(sat)
12:00-18:00
日・月 休廊
松本
2025年
09.23
(tue)
10.05
(sun)
10:30-18:00
月・火 休廊 9/23(火・祝)開廊
- 概要
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この度ギャラリー石榴では、画家・江波戸陽子の2年ぶり2回目の個展を開催いたします。本展は東京南青山と長野県松本市の2会場を巡回します。
江波戸の制作は、身近な物に淡々とした視線を注ぎ、描くことによってその存在がまとう「時間」をとらまえようとする点で一貫しています。近作では、人が感情移入しやすい目や顔のあるモチーフや、極端に余白が強調された構図は影をひそめ、絵づくりにおける丹念さや洗練の度あいが増しています。また、以前はヴァリエーションのあった素材や技法の選択も、つやのある生成りの三椏紙(みつまたし)に、転写によって黒色の線を写し取りながら描く方法へと、ほぼ収斂されています。そこには古今の美術のみならず、広く視覚イメージから学びをえながら、インパクトや「映え」によらずに、「物」を、そしてそこに宿る「人」の気配を描くことに注意をかたむける描き手としての取捨選択があります。
鑑賞者にとって、江波戸の作品に触れることは、物と静かに向きあう画家の視線をなぞる時間です。そこでは視ること、描くことがそのまま、愛でること、慈しむことへと連なっていきます。それはまた、おのおのが生きる、今ここに流れる時間、遠く過ぎ去った時間、そしてやがて訪れる自分不在の時間に思いをいたす場ともなるはずです。
本展では油彩転写によるモノタイプを中心に新作20点を展覧いたします。この機会にぜひ会場にてご高覧ください。
作家在廊日:[青山]9/2(火)、6(土)、13(土)、[松本] 23(火)
- 作家ステイトメント
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もしもあらゆる時がそこにあるなら
─ ただそこに在る物たち ─
物は喋りません。
ただそこに在るだけ。
それらは、確かに誰かの手にふれられ、使われ、置かれ、忘れられ、
あるとき、また誰かに見つけられてきました。
その静かな佇まいに、私は、人の気配を見出します。
過去、現在、未来——
時間はまるで分かたれているかのようでいて、
実は互いに滲み合いながら、ひとところに佇んでいるのかもしれません。
現在の時も過去の時も
たぶん未来の時の中にあり、
また未来の時は過去の時に含まれる。― T.S.エリオット『四つの四重奏曲』「バーント・ノートン」より(森山泰夫訳、大修館書店)
かたちにならないもの——
記憶や経験、思い出。
私はそれらを、物を通して描いています。
描くことで、誰かが生きた時間を、そっととどめたいのです。
周囲を見渡せば、絶えず更新されつづける情報ばかり。
動かず、ただそこに在る物を見つめる時間は、
私たちにとっていつのまにか、貴重なものとなっていました。
物には、「流れ去らないこと」でしか伝えられない記憶が宿っています。
日用品、雑貨、楽器、おもちゃ、ぬいぐるみ……
誰かと共にあった物たち。
そして、これから誰かと出会っていく物たち。
それらは私にとって、単なる描く対象ではなく、誰かの時間を記憶しつづける存在です。
─ 触れるように描く ─
私は、和紙に描いています。
目の前に物を置き、視線でなぞるようにして。
油彩による転写は、パウル・クレーが編み出した技法。
油絵の具を塗った紙を転写紙のように扱い、線を写し取ります。
版画の領域ではありますが、複製は出来ません。
線による構成は、葛飾北斎の教本から学びました。
定規を用いて、物の骨格をとらえ、
見えない構造を紙の上で組み立てていくかのように。
図と余白が呼吸を交わし、人の時間が折り重なってゆくような画面を、私は求めています。
─ 今、なぜ絵なのか ─
情報が溢れ、手のひらで消費されていく今。
刺激的で感情的な情報がうねりとなって社会に広がるなかで、
沈黙や、物をじっと見つめる時間が、私たちからこぼれていきます。
美術もまた、「没入体験」や「映え」のような一時の波に呑まれ、
その本来の静けさや、物と向き合う行為の深さが見過ごされているように感じます。
絵は、すぐには答えてくれないかもしれません。
しかし、ときに沈黙し、ときに遠回りに、
私たちの内側にある「なにかにじっと向き合いたい」という感覚に、
深く静かに、呼応してくれます。
私は絵を描きます。
物の奥にひそむ誰かの時間を、そっとすくいとるようにして。
- 作家略歴
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1988 東京生まれ
2011 多摩美術大学 絵画学科油画専攻 卒業
2013 多摩美術大学大学院 美術研究科修士課程 絵画専攻 修了
東京在住賞歴
2011 第16回福沢一郎賞受賞
2014 ワンダーシード2014入選
2021 第5回アワガミ国際ミニプリント展入選
第6回星乃珈琲店絵画コンテスト優秀賞(岡村桂三郎氏推薦)受賞
2022 Independent Tokyo 2022 審査員特別賞(かんの自然氏推薦)受賞
第1回FEI PURO ART AWARD スタンダード部門入選
2023 第7回宮本三郎記念デッサン大賞展佳作
第2回FEI PURO ART AWARD スタンダード部門入選
2024 第23回アートギャラリーホーム入選個展
2021 「何を見ても何かを思いだす」(OgalleryUP・S・東京)
2022 「思い出はどこへ」(一日・東京)
「今は昔」(JINEN GALLERY・東京)
「昔は今」(アートルーム企画室•東京)
2023 「十年一日」(JINEN GALLERY・東京)
「江波戸陽子×古美術 こちら未来 〜それでも、世界は続いていく〜」
(Quadrivium Ostium・神奈川)
2023 「地上は思い出」(ギャラリー石榴/東京・長野)
2024 「ガーディアンズ」Quadrivium Ostium、神奈川
2024 「あることとないことが眩しいようにぴったりだ」一日、東京
2024 「心と目と行いと生活で」GALLERY IRO、東京(Center line art festival Tokyo 2024プログラム)
PAST
過去の展覧会